国内初の特徴 MCEI シミュレーション

コースの概要

私たちは、医療だけでなく、地域ケアで活躍できる人材を育成したいと考えています。それは、医療スキルのだけでなく、生きる人を、病気の時だけでなく、介護が必要になった時、そして人生の締めくくりの時期までを全人的(肉体的・精神的・社会的)にとらえ、支えることができる人を一人でも多く育成するということです。
そのために、従来の医療だけでなく、介護(Care:C)シミュレーション、看取り(End of Life:E)シミュレーションを開発し、HIMEmaria®の教育の中心としています。さらに、M・C・Eの3つの領域をシームレスにとらえ、対象者をケアできる能力を持った人材を育成する統合(Integrate:I)シミュレーションを、世界に先駆けて開発しています。

マネジメント力 臨床実践力 対人関係能力 教育力 人間性(論理性)

私たちの目指すのは、単にスキルが向上するための教育ではありません。キリスト教を母体とする私たちは、倫理性を含めた総合的な能力の向上により、地域ケアの担い手として高い能力を備えた人材を育成します
市中病院や老健施設を併設するHIMEmaria®は、学んだ内容を即実践に活かすことができる、臨床実践に直結した学習支援を目指します。各施設から得られる情報やフィードバックを、いち早くプログラムに盛り込み、最新の問題状況を再現し、それを実際に解決できる地に足の着いた人材育成、能力開発を目指します。
コースによっては、法人スタッフだけでなく、他施設の方や学生、一般の方に参加していただくことも可能です。
詳細はプログラム案内をご覧ください。

プログラム案内

安全で確実なチーム医療を目指すM(医療)シミュレーション

チームアプローチトレーニングでは、生体反応を再現できる高機能シミュレータを用い、病室や医療機器などの臨床状況をできるだけ忠実に再現することで、プレッシャーのかかる場面での安全で正確な医療処置及び介助の実施、コミュニケーションスキルおよびリーダーシップスキルの習得、患者対応などを学ぶことができます。目標設定によっては、安全管理・感染管理を含めたマネジメント力向上のためのプログラム設定も可能です。

多様なシミュレータを備え、研修医のみならずその他の医療職のスキルトレーニングを行うことができます。若年の看護師や、潜在看護師の再就業支援にも意義のある取り組みを行います。また、非医療職に対するBLS/介護技術トレーニングを行うこともできます
また、AHAのBLS、ACLSプロバイダーコースの開催が可能な施設・器材を備えており、独自にコースを開催することができます。希望があれば所定の資格を取得後、インストラクターとして活躍いただくことも可能です。

地域で生活者を支えるC(介護)シミュレーション

近年専門性が高まっている、地域で生活者を支えるための介護専門職のためのシミュレーションです。施設や居宅をできる限り再現し、移動用リフトや介護用ベッドなどを備えたシミュレーションルームで、併設の施設からフィードバックを得た最新の問題状況を再現することが可能です。

今後地域ケアの中心になると思われる在宅ケアについても、法人内の訪問看護ステーションとコラボレーションをしながら、プログラム開発を進めています。

プログラム例

独居の高齢者を在宅で訪問した際、対象者の様子が何となくおかしい。
体温を測ったけれど平熱です。
ほかにどんな状況を観察して、どのように電話で報告すれば、看護師に状況が克明に伝わり適切な指示が得られるでしょうか。

人生の締めくくりを振り返るE(看取り)シミュレーション

病院だけでなく、施設・在宅と様々な状況での「看取り」に問題意識が高まっています。HIMEmaria®では、上記のシミュレーションルームを使用し、ホスピスだけでなく、一般病床や施設・在宅での、見取り場面での様々な問題状況や気になる場面を再現し、その解決のための能力開発を支援します。併設の緩和ケア内科(ホスピス)病棟スタッフや緩和ケア認定看護師、緩和医療認定医からバックアップを受け、感覚だけでなく理論に裏打ちされた学習体験を得ることができます。

全人性の理解を目指したI(統合)シミュレーション

現在、医療・介護の職種は細分化しており、自分が担当している領域だけでは対象者の生活全体を理解することが難しくなっています。例えば、病院の職員は介護施設や、サービスを受けながらの在宅での生活を想像することは困難と言えるでしょう。しかし、地域ケアに携わる私たちは、その人の生活のすべてを理解したうえで自らの専門性を発揮し、対象者の生活を支援することを目指しています。
そこで、HIMEmaria®では、上記のM(医療)・C(介護)・E(看取り)のすべてのシミュレーションをシームレスに行き来する統合(Integrate:I)シミュレーションと提案します。これは、一人の対象者の地域における治療・施設及び在宅介護・そして看取りを継続的に体験することで、対象者の継続した生活とそれに伴う苦痛や苦悩などの理解を促すプログラムです。Iシミュレーションにより、様々な職種や立場を体験することで、施設内やステーション内の連携だけでなく、地域における他職種連携のための能力が格段に向上することが期待されます。病院・施設・地域の対象者ケアに携わるスタッフだけでなく、ケースワーカーやケアマネージャーなど、普段は対象者ケアに直接かかわらないスタッフにもお勧めのプログラムです。なお、プログラムでは学習のため、自分の専門領域以外の職域を体験することもあります。

プログラム例

在宅で妻の介護をしながら元気に暮らしていたAさん(80歳男性)は、突然右半身まひとなり、脳出血のため病院搬送され、手術を受けました。術後血圧が下がり、生命の危機的状況となります(Mシミュレーション)。リハビリを進めましたが、右半身完全麻痺と運動性失語が残存し、老人保健施設に入所されました。入所後、本人の状況に合わせた生活援助の必要性が生じました。また、感情失禁や易怒性などが出現し、スタッフは対応に苦慮します(Cシミュレーション)。入所期間が満了し、本人と家族(遠方に住む娘夫婦)の強い希望で在宅復帰します。
在宅では、介護力の不足と家族の理解不足でなかなか生活が軌道に乗りません(Cシミュレーション)。
そのうち、食欲が低下し、ベッドから起き上がれなくなりました。訪問看護師が訪問した時点では急変してもおかしくないように思われましたが、家族は楽観的です。
病状が悪化した場合、病院に連れて行くか、家で看取るかの調整が必要となりました(Eシミュレーション)

各プログラム修了者の方々へ

各部プログラム修了の方々には、当センターから「Cerficate(修了証)」を発行します。
さらに、Iシミュレーション受講者には、修了証と同時に、1St
Grade~3rd-gradeの各グレートに準じたバッジもお渡しします。

トップへ戻る ▲

医療(Medical:M)シミュレーション

概要

HIMEmaria®では、安全でエビデンスに基づいた高品位な医療を実践することを基盤としつつ、医療スキルだけでなく人間性・倫理性を備えた総合力のある医療人の育成を目標としています。
姫路聖マリア病院が独自に蓄積したシミュレーション教育の経験知を受け継ぐ、質の高いシミュレーショントレーナーが、様々な目標を持つ学習対象者に対応して効果の高いシミュレーション教育を実践します。

医学系シミュレーション

多彩な最新の医学系シミュレータ使用により、医療スキルの向上を目指します。

看護系シミュレーション

今まで蓄積した多数のシナリオを保持しており、病態を把握した専門的な患者観察、プレッシャーがかかる状態での多重課題、から感染症アウトブレイク発生時の病床管理といったマネジメント的な対応まで、いろいろな学習目標に対応することができます。
また、採血や導尿といった看護技術のためのスキルトレーニングについても、専門的なシミュレータを導入しており、効率の良い技術習得が可能です。
臨床看護師のみならず。潜在看護師の再就労支援や看護学生の実習前・実習中の学習支援にも利用できます。

コメディカル用シミュレーション

管理栄養士や薬剤師の患者指導や面談のシミュレーション、受付スタッフによるバイスタンダ―CPR、日本語がしゃべれない外国人対象者への対応など様々な状況を想定したシミュレーション教育が可能です。
接遇を含めた患者対応は、普段患者に接することの少ないスタッフこそ学習すべきものだと考えます。

チームトレーニングシミュレーション

各専門職の専門性の向上により、チームでの他職種連携の重要性が増しています。多職種で広く行われている、患者急変時の救命を目的としたシミュレーション教育を開催することはもちろんですが、退院調整時の看護師、MSW,ケアマネージャーなどの多職種での調整などをシミュレーションし、患者を中心としたチーム医療のプロセスを追うことで、多職種がお互いの専門性を尊重した連携を図ることができ、より良い実践につながると考えます。

AHA BLS/ACLSコース

AHA(アメリカ心臓協会)ガイドライン準拠のBLS/ACLSコースを開催することができる設備を備えています。希望される方は、所定のコースを修了したのち、インストラクターとして活動することができます。

トップへ戻る ▲

介護(Care:C)シミュレーション

概要

介護需要の増大により、介護に携わる方々に求められる専門性が増大しています。HIMEmaria®の提供するCシミュレーションは、そのような状況下で社会及び介護職の方々のニーズを満たすことができるものと考えます。

介護専用のシミュレーションルームの設置

介護用ベッドやリフトなど、様々な介護用物品を備え、介護施設の居室を再現した、介護専門のシミュレーションルームを整備しており、介護特有の問題に対するシミュレーションが可能です。また、ベッドのみを設置した汎用シミュレーションルームでは、物品配置の変更により、療養型病床や在宅など、多彩な環境を設定可能です。
また、廊下、トイレ、階段、エレベーターなどは、病院や施設に準拠した設計となっており、対象者の生活環境と困難状況を様々な形で再現可能です。

医療施設から在宅まで、多彩なシナリオを用意

法人内に病院・老健施設・訪問看護ステーションなど様々な事業所を併設したHIMEmaria®では、様々なフィードバックを受けることで、様々な場所や状況での対象者の視点に立った多彩なシナリオを作成できます。療養型病床や老健施設での医療依存度の高い対象者へのフィジカルアセスメントや状態悪化への初期対応及び報告、半身まひとなった対象者の在宅での生活の再構築支援、施設での在宅復帰支援における、家族を含めた多職種での意思決定の在り方など、現実に即した実践につながるプログラム構築ができます。また、同法人内で2016年に開設を目指した法人内に重症心身障害児(者)施設に対応したシナリオも開発する予定です。

基礎的介護技術トレーニングにも対応

介護用ベッドをはじめ、様々な介護用物品を設置しており、移動介助、清潔介助、食事介助、吸引など基本的な介護技術のトレーニングを行うことができます。場面設定を変更することで、様々な状況に応じた介護手技を再現でき、学習者のスキルよって難易度を変更することもできます。

介護専門職の専任トレーナー

介護専門職の資格をもち、施設・病院に勤務経験のある専任トレーナーを配置しています。介護専門職ならではの視点から、専門性の高い手厚いサポートを得ることができます。

トップへ戻る ▲

看取り(End of Life:E)シミュレーション

概要

近年、ホスピスや病院だけでなく、施設や在宅にあっても、看取りのニーズは拡大しています。それに伴い、医療・介護・福祉に従事する専門職者は、対象者の苦痛、倫理的問題、家族へのかかわり、物品やスペース等の物理的問題など、様々な困難状況に直面しています。
HIMEmaria®の開発するEシミュレーションは、そのような困難状況を解決するための方法や知恵を共に考え、構築していくことで学習者の能力開発を支援します。

知識や技術だけではない多彩なシナリオ

法人内の事業所が持つ様々なケースから、学習者が体験することが多い状況や学習に値する場面をシナリオ化しています。多彩なシナリオから、学習者の学習ニーズや課題にあったシナリオを選択することができます。

終末期患者の持つ様々な苦痛を緩和するための専門的知識

終末期の援助対象者は、様々な身体的・精神的・社会的、そして霊的な苦痛を抱えているといわれ、その解決が援助者の大きな課題となっています。
HIMEmaria®では、緩和ケア専門医をはじめとする専門スタッフがシミュレーション教育に全面協力し、対象者の苦痛に対応するためのエビデンスに沿った対応をサポート。学習者の学習を支援します。

高度化するスキルにも対応

社会の価値観の多様化やエビデンスの蓄積により、看取りや死亡時のケアはめまぐるしく進歩しています。HIMEmaria®では、看護・介護専用のシミュレータや専用の用具を常備しており、対象者の状況に合わせた処置やケアのスキルをトレーニングすることができます。専門病棟に在籍した経験を持つトレーナーが、専門的な指導を行うこともできます。

様々な専門職が学習をバックアップ

HIMEmaria®におけるEシミュレーションプログラムの最大の特徴は、併設する緩和ケア内科病棟(ホスピス)の専門スタッフが全面協力して作成したシナリオを使用し、サポートを得ることが出ることです。様々な要素を複合的に組み合わせた、現実に起こり得る状況を想定したシミュレーションを行い、問題解決のためにエビデンスを持った支援をすることで、学習者の能力を効果的に向上させることを目指します。

トップへ戻る ▲

統合(Integrate:I)シミュレーション

概要

医療(Medical:M)、介護(Care:C)、看取り(End of Life:E)の3領域を統合したシミュレーションです。
一人の対象者の、病院での治療期、施設・在宅での維持・回復期、そして終末期を、複数回のシミュレーションを通して、プロセス学習を行います。
HIMEmaria®独自の、新しい方式のシミュレーション教育です。

特徴

一人の対象者の治療期から終末期までのプロセスを追うことで、対象者の人生を中心としたかかわりや援助を学ぶ機会を得ることができると考えます。
また、多職種が、場面に応じた専門性を発揮することで、お互いの専門性を理解し、施設間、施設―在宅間での理解を深めることができ、よりよい地域ケアの構築に貢献できると考えています。

対象者の例

Bさん85歳 男性 認知症はない。ADL自立。現役時代は酒屋を経営していた。喫煙者で、COPDを指摘されている。現在は妻と二人暮らしで、酒屋は別居の息子が継いでいる。ほかに遠方に結婚した娘が一人。一昨日より食事が食べられなくなり、深夜に救急搬送され、急性胆のう炎・汎発性腹膜炎と診断され、緊急手術となった。一般病棟に帰室。翌日夜、

[呼吸状態が急激に悪化、血圧が低下したため救命処置実施、気管内挿管の上ICU管理となった]

(Mシミュレーション) その後順調に回復したが、COPDによる息切れのためリハビリが進まず、車いす介助が必要となった。家族の希望で自宅改修中は老健施設に退院となった。

[施設では車いすから頻回に立ち上がろうとし、転倒の危険性が高い。また息切れのため、活動が制限され、生活の再設計が必要]

(Cシミュレーション①)であった。ある日の夜、

[調子が悪そうで、努力様呼吸。右呼吸音が聴取できず、血圧の低下を認めた。介護福祉士が看護師に連絡、病院に受診することになった]

(Cシミュレーション②)。 誤嚥性肺炎で1か月の入院を要した。本人及び家族の強い希望で自宅への退院となる。

[安静治療のため、硬縮が進行し、自宅介護プランの再設計が必要となった]

(Cシミュレーション③)。自宅で不顕性誤嚥を繰り返したが、同居の家族の意向で入院はせず、往診と訪問看護で看取る予定となっていた。

[そこに遠方の娘が来訪、家族の方針に納得せず、意思決定の支援が必要になった]

(Eシミュレーション①)。

[家族の協議がまとまらないうち、Bさんの状態が急激に悪化し、家族が見守る中逝去された。娘は、突然のことで父親の死を受け入れることができずに、動転している]

(Eシミュレーション②)

Integrate Simulation

トップへ戻る ▲

HIMEmaria®シミュレーショントレーナーコース

コースの概要

シミュレーショントレーナーを育成するためのコースです。コースでは、シミュレーション教育を実践している講師による理論に加えて、実践を中心とし、シミュレーショントレーナーとして活動できる基礎的な力を身に着けていただきます。コース修了者には、修了認定証をお渡しします。
コース修了者は、HIMEmaria®のトレーナーとしてシミュレーション教育に携わることで、実践的な能力を継続的に開発します。
シミュレーショントレーナーとしての教育実践能力と実績評価から、HIMEmaria®で独自に設けたトレーナーとしての認定レベル(ラダー)を認定していきます。
シミュレーショントレーナーとしてだけでなく、臨床実践家として継続的に発達を支援できるコースプログラムを目指しています。

開発できる能力

シミュレーショントレーナーコースを受講するに当たり、シミュレーショントレーナーとして、自らの専門分野に関する知識及び技術がある程度あり、教育に対する情熱があることは前提条件であると考えます。HIMEmaria®のトレーナーコースでは、ファシリテーションやリフレクションなどといった基本的な教育スキルと、シナリオ作成やデブリーフィング手法などのシミュレーション教育にかかわるスキルだけでなく、接遇を含めた倫理性、人を大切にする気持ちをはじめ、対人関係力、学習者や多職種間のコーディネートを含めたマネジメント力をはじめとする教育者としての総合力を高めることを目標としています。
シミュレーショントレーナーコースを修了し、トレーナーとなった人が、臨床実践家としてだけでなく、人間性も一段階成長したと感じられるコースにしたいと考えています。

コース内容(予定)

シミュレーショントレーナーコースでは、シミュレーション教育の基本的な概念や手法と、基盤となっている成人学習の基礎的概念を学習します。その後、多職種協働によるシミュレーション体験を経て、シミュレーションシナリオの作成・実施・評価の過程を実際に行うことで実際のシミュレーションの流れを知ることができます。

継続教育では、実践による経験を重視し、シミュレーショントレーナーコース修了者は、HIMEmaria®主催のシミュレーションコースにトレーナーとして参加することが可能です。対象者や目標の異なるシミュレーション教育を経験することで、シミュレーショントレーナーとしての実践能力の向上を目指します。経験に応じて、先輩トレーナーが支援に当たります。トレーナーとしての能力が向上すれば、プログラムの企画から関与することが可能です。
また、フォローアップとして、法人内・外の講師より、シミュレーション教育に関係するトピックスに関するレクチャーを開催し、シミュレーショントレーナーの知識や技術のブラッシュアップを支援します。

講師等コース詳細については、プログラムの案内をご覧ください。

トップへ戻る ▲

トップへ戻る